薬の価格リスク

先日、消費税を10パーセントにアップすることを盛り込んだ、社会保障と税の一体改革案が国会で可決されました。
消費税をアップするといっても、景気の動向を判断してということですが、かつての橋本内閣の悪い例がありますから。

景気が良かろうが悪かろうが、「上げることを決めたから上げる」ということで押し切られかねません。
もし消費税が10パーセントに上げてしまわれたりしたら、薬局にとってとても大きな脅威となってしまいます。

消費税が10パーセント以上に上がってしまったら、多くの薬局が経営破綻してしまうことが、専門家たちによって予測されています。
その理由は、薬局が薬品の卸問屋から購入する薬の仕入れの値段と、薬局で販売する薬の価格(販売価格)の差=薬価差にあるのです。
薬局は、消費税と同等額の薬価差がないと経営が成り立たないのです。

消費税が5パーセントとなっている現在では、薬価差は10パーセントとなっているのでなんとか薬局は利益を出せる状態になります。
ですが、もしこれから消費税が15パーセント以上になってしまったら、薬局で販売する薬の価格よりも卸問屋での薬の購入価格のほうが高くなってしまいます。

それがゆえに薬局は利益が出せなくなってしまうのです。
なので、消費税の10バーセントアップは薬局にとっては大きな脅威となってしまいます。

海外と日本の消費税

政治家たちの中には、日本は欧米諸国に比べて消費税率が低いのです。
だからもっともっと日本も上げたっていいじゃないか、という楽観論を持っている人が多いようです。
ですが、欧米諸国は消費税が高くても、食料品など、生活に必要なものについては、通常の消費税率より低い軽減税率をもうけています。

消費税が20パーセントくらいの国が多い欧米において、誰も国民が文句を言わないのはそのためなんです。
欧米諸国の中には、食料品はもちろん新聞にも軽減税率をもうけているところもありますが、ひるがえって日本ではどうでしょうか。
現在、軽減税率をもうけていない日本では、どんな物を購入しても、どんなサービスを受けても、5パーセントの消費税を支払わなければなりません。

お金持ちの人もお金のない人も、一律で5パーセントを支払わなければならないのです。
しかも、日本の場合、支払わなければならないお金はそれだけではありません。
国民年金保険料(厚生年金保険料)、厚生年金保険料、国民健康保険料、40歳以上の人は介護保険料などなど。
医療と社会保障を維持するために毎月、毎年支払わなければならないお金が多くあるのです。

国民年金保険料(厚生年金保険料)は少なくとも毎月15000円くらい、介護保険料は全国平均で約5000円。
さらに、国民健康保険料は全国平均で年間50万円の支払いとなっています。
毎月、毎年、これだけの多額の出費を強いられつつ、多くの日本国民が苦しい生活を送っているのです。

これで消費税が10パーセントに上がってしまったら、国民はどうやって生活していけというのでしょうか。
政府にはこれから、食料品はもちろん、医薬品にも軽減税率を作ることを強く要望したいですね。
医薬品は贅沢品ではなく、国民の生活に欠かせないものなのですから。