健康管理とサポート
先日、これからの薬剤師はどのような事業展開をしていくべきかということを考えるフォーラムが開かれました。
このフォーラムでは、糖尿病治療に薬剤師が積極的に関与するというアメリカの事業展開プロジェクトの例が取り上げられました。
アメリカでは2010年に医療改革のヒアリングが行われ、薬剤師が糖尿病の治療に関与するというプロジェクトがとても意義のあるものだと高い評価を受けたそうです。
これを受けて、フォーラムで講演をした製薬会社の関係者は、薬剤師が調剤という業務だけにこだわってはいません。
患者の全般的な健康管理に関わるという認識を持つことが大事だと話しています。
日本の薬局でもアメリカのように薬剤師が患者の健康維持のサポートを積極的に行う取り組みが行われることに期待を乗せたそうです。
アメリカで行われている、薬剤師が糖尿病の治療に積極的に関与するプロジェクトの具体的な内容を書きます。
プロジェクト内容
薬剤師が糖尿病患者へのカウンセリングと服薬指導を行い、糖尿病の症状を改善しようというものだということです。
ちなみにこのプロジェクトは、アメリカのある州の市役所の職員を対象に行われました。
このプロジェクトでは、加入している医療保険会社との契約により、糖尿病を患っている市役所職員には月1回の薬剤師との面談が義務づけられています。
ですが、その代わりに彼らの負担する薬の費用は無料となるのだそうです。
アメリカではこのプロジェクトの実行により、糖尿病を患っている職員がきちんと服薬をするようになりました。
それゆえに薬剤費は下がらなかったということですが、医療費全体の抑制や、糖尿病の治療のための欠勤率が低下したなどの良い効果が得られたということです。
このプロジェクトはさらにアメリカの別の都市にある異なる業種の企業5社においても実行されましたが、いずれも同じような良い結果が得られているということです。
この結果を受けて、薬剤師が病気の治療に積極的に関わっていけるそんなプロジェクトがあります。
その対象は、現在では糖尿病にとどまらず、脂質異常症や喘息、うつ病などの病気にも拡大しているということです。
この、薬局の薬剤師が病気の治療に積極的にかかわるというプロジェクトが始まった当初医師は自分たちの仕事を薬剤師にとられてしまうのではないかという危機感を抱いたそうです。
ですが、プロジェクトにかかわる薬剤師の教育と研修に医師が積極的に参加していくことで、彼らの薬剤師やプロジェクトに関する信頼度をより高めることができたということになります。
製薬会社の関係者はこのフォーラムで、アメリカで薬剤師が積極的に病気の治療に関わるプロジェクトが成功した。
その要因として、患者と薬局の薬剤師、医師、そして保険会社すべてが利益を得られる設計が成功につながったと分析しています。
もし、このプロジェクトを担う人たちの誰かが、無報酬のボランティアであったなら、このプロジェクトは成功しなかったでしょう。
また、フォーラムでは、治療のエキスパートである医師と、調剤と服薬のエキスパートである薬局の薬剤師が患者にかかわること。
この事で、患者の厚い信頼を得られたことも、プロジェクトの成功要因の一つだということが挙げられました。