ジェネリック医薬品を使うのが原則となる
医療費の削減といった考えのために、生活保護者には医療面でのいくつかの制約があります。
その1つが、先発薬とジェネリック医薬品の両方があるのであれば、生活保護者は原則としてジェネリック医薬品を使うことです。
ここで注目すべきなのが、ジェネリックの使用は強制ではなく、あくまで原則的な措置であるということです。
つまり、医師が先発薬が必要であると判断して、その処方を行えばジェネリック薬を使う必要はなくなります。
また、生活保護者である患者さん自身が望んだ場合も、先発薬を出す必要があります。
しかし、原則的な措置に反するために、何もしないで先発薬がもらえるわけではありません。
ジェネリック薬があるにも関わらず先発薬を希望する場合は、その理由を明記して福祉事務所に送ることになります。
調剤薬局においてその記入などを行うことになりますので、薬剤師の業務が増えることにつながります。
自治体によって対応が違うこともあり注意が必要
このように、先発薬を使う際には福祉事務所への通知が必要となるのですが、その対応においては自治体によって若干の違いがあります。
たとえば、先発薬を選択する場合でも、医師がそのように処方した場合や、そのジェネリック医薬品を過去に使用してアレルギー反応が出た場合、調剤薬局に在庫がないなどで出せない時などは、特に通知をしなくても良いという自治体もあります。
この場合でも、自治体が後に改めて理由の説明を求めた時には、書類を作成して提出することが多いようです。
この例にもあるように、先発薬を出すすべてのケースにおいて通知が必要というわけではありませんので、実際の業務を扱う薬剤師としては、自治体ごとの対応を確認しておく必要があるでしょう。
不要な業務をすることになったり、逆にすべき業務をないがしろにしてしまったりすることを防げるでしょう。
いろいろな課題が残る制度
ジェネリック医薬品の問題だけに限らず、生活保護受給制度については、いろいろな課題があるとして、社会的にも注目されています。
調剤薬局の観点から見ると、生活保護者へのジェネリック医薬品の提供は、ジェネリック使用率に加算されないという点が挙げられるでしょう。
原則として先発薬の使用ができないという背景もあるでしょうが、薬局としてはジェネリック医薬品を通常と変わらず出しているわけですから、使用率に入れてくれても良いのでは、という疑問が残ります。
医療費の削減などの問題が多い日本ですので、なかなかすべての方面の要望を聞くことができないという事情もありますが、いろいろな課題の残る制度と言えるでしょう。
これからさらに議論が深まり、改善がなされることが期待されます。